痺れの発生
痺れ(しびれ)には、がんの進行によって生じる痺れと、抗がん剤を服用しての副作用から生じる二つの痺れがあります。いずれも、末梢神経が障害されて発生します。
がんの進行によるもの
脊髄からでる神経ががん細胞に障害され、その神経の支配する領域に痛みや痺れが生じます。手足の先端に至る末梢神経ががんによって圧迫や浸潤 (しんじゅん)されると、手足に痺れが現れます。また、血管にがんが浸潤すると、焼き つくような痛みと痺れが起こります。
抗がん剤の服用によるもの
抗がん剤に含まれる成分によって末梢神経の細胞のDNAの合成障害によって痺れが副作用として引き起こると考えられています。
末梢神経障害を起こしやすい抗がん剤 一覧表を示します:masshousinkei7.pdf
がん薬物療法と末梢神経障害 我慢をしないで早期に対処しましょう:masshousinkei1.pd
*抗がん剤によっては服用して3日目から痺れの前兆が現れるものもあります。
*痺れの持続は6~30ヶ月以上続く場合もあります。
*痺れを完全に取り去る有効なくすりはありません。
*痺れは局限して強く起こることはありません。
*がん細胞が脊椎(背骨)転移したことからQOL(生活の質)を低下させます。
「痺れペア療法」とは
痺れペア療法は鍼療法とマイルド入浴のペア治療となっています。鍼療法の刺絡(しらく)で痺れ軽減、マイルド入浴で痺れ軽減と併行して末梢神経の回復を目指して痺れ根治を目指します。
特長は、痺れの軽減だけでなく障害末梢神経の回復を目指し快復が期待できるのが他の治療との大きな違いです。
また、痺れ痛みの程度を知る「フェイスビジュアルスケール」を治療前後に使い治療効果の判断が気軽に行えます。
○鍼療法(刺絡と特殊円皮鍼)の役割
刺鍼(痺れと関連するつぼ刺激)や刺絡(痺れ経絡の井穴にほんの少しチックとする刺激での出血)による痺れ軽減の施術を取り行います。
技術効果
・刺絡(しらく)による気血運行の通路を良好にする施術があります。
・特殊方法による円皮鍼による痺れ周辺への刺激による痺れ軽減の処置もあります。
作用効果
⇒ 一回の刺絡でおおむねしびれが軽減となる公算が高いです。
⇒ からだに備わっている内因性鎮痛機構に活力を与えます。
⇒ 痺れからの痛みに脳内モルヒネ様物質で鎮痛に働きます。
⇒ 脳から痛みを伝える下行性痛覚を遮断に働きます。
⇒ うっ滞した血流を取り除き、血液の循環を改善します。
⇒ ゲートコントロール説による痺れ痛みの緩和が得られます。
○マイルド入浴の役割
マイルド入浴のマイルド加温刺激で全身温熱療法を行います。
・痺れのある皮膚下層には辛い症状を増強する「冷え感覚」があります。マイルド加温には冷えを招く「瘀血」*(おけつ)や血液の流れを悪くする「硬結」*を改善します。
*「瘀血」は東洋医学的な用語で血液の流れが低下して臓腑(内臓)や経絡に停滞すると生じる症状です。
*「硬結」は柔らかい組織が病的に硬くなった状態。痺れの場合はしこりが板状になり痺れを増強します。
・温熱刺激は髄鞘変性を促進することで末梢神経の再生を促進する可能性が示唆されていることからいつもの
入浴をマイルド入浴への変更は痺れの根治に有効となります。
技術効果
・マイルド入浴の温熱効果に7つの鎮痛作用があり痺れ、痛みの緩和が期待できます。
・マイルド入浴に1℃アップ入浴から3℃アップ入浴があり目的に応じて使い分けることができます。
・マイルド入浴は障害末梢神経の回復だけでなくリンパ球を活性化する働きもありがん抑止に働きます。
・マイルド入浴はストレスに強くする働きとしてストレス耐性づくりを行うことができます。
作用効果
⇒ ゆううつな気分の解消に働きます。
⇒ コンクリートのような皮下冷感の解消に働きます。
⇒ 病変部の末梢血管を拡張させて虚血を解消します。
⇒ 障害を受けた末梢神経の回復につなげます。
⇒ 痺れ軽減が3時間程度にみられたら、この間に運動とストレス解消を兼ねて散歩されるのも良いと考
えます。筋肉はリンパ球を活性化する役割があることから散歩は有効のものになります。
*参考までに、マイルド入浴はがん温熱療法のマイルド温熱療法の温熱域に匹敵するがん温熱効果が期待できます。マイルド入浴の期待できる働きと役割
○痺れペア療法の流れ
痺れパア療法の効果は、多くの場合、刺絡を行いますとマッチする人は施術に伴い痺れの改善を自覚されます。しかしながら、痺れの改善だけでなく障害末梢神経の回復が真の快復であって、短い期間で良くなることもありますが、3ヶ月~4ヶ月、あるいは年単位での回復期間をようすることもあります。
初期の治療として最初の1週間で5日続けて痺れペア療法を行います。5回目施術終了後に改善が見られない場合は無効と判断して、ご相談させていただき別のツボを試すかマイルド入浴だけにして頂くかを相談させていただきます。
痺れを軽減してQOL(生活の質)の維持向上を目標とします
第一目標 |
「夜間の睡眠の確保」 痺れに妨げられない夜間の睡眠時間の確保 |
第二目標 |
「安静時の除痺れ」 日中の安静時の痺れの軽減、消失 |
第三目標 |
「普通の日常生活が送れる状態」 体動時や体重負荷持の痺れの軽減、消失 |
第四目標 |
痺れの消失が維持され、平常の生活に近づくこと |
痺れペア療法は痺れや痛みの緩和を高めこれまでのQOL(生活の質)が向上することでしょう。
痺れペア療法の技術指導
刺絡は専門技術を必要としますが、要領をマスターすれば誰もが可能となります。治療時間の拘束や治療費の負担軽減、そして治療期間等を考慮して自己治療を推奨しております。技術をお教えしますので遠慮なくご相談ください。
『痺れを自分で治し、自分らしさを取り戻し自分らしく生きましょう』
キャンサーサバイバーメディカルサポート