フォロー「バスマイルド入浴法」
バスマイルド入浴法をお勧めするのは、自身の免疫能を良好にすることであって、がん治療に大きな味方になるし予後にもいいと言われるからです。
バス活用における入浴に関連する相違
よく、がん治療にかかわる入浴での呼びかけにはつぎの内容が見受けられます。
「免疫力をアップさせるためにやるべきこと」として、「適度な運動」や「栄養バランスの良い食事」そして「毎日の入浴」が呼びかけとなっています。
温熱療法を勧めている者として気になるのが、「毎日の入浴」の内容です。免疫力をアップに毎日の入浴が重要」とあるのはいいのですが、“低めの温度で約15分程度汗をかき過ぎない程度の入浴にしましょう”や、“汗をかき過ぎると体温が下がりやすいので注意しましょう”とあります。この説明では汗が一方的に悪者にきこえます。がん治療の患者さんへのアプローチとするならば、もう少し違った呼びかけにした方ががん治療応援につながると思います。
セルフケアヘルプセラピーの「バスマイルド入浴法」には、温熱療法の前後に水分の摂取に呼びかけがあり、全身温熱療法の要となる予備加温となる「入浴」と本加温となる「保温」とがあります。そして温熱効果のバロメーターとなる舌下温による体内温度の測定があります。なかでも、一般的な説明には、肝心な 「保温」の記述なしのケースが多くみられます。なぜなのか?おそらく、ご存じないのか、理解されていないか、どちらかが推測されます。いずれにしても「保温」は温熱療法のキーパソン的な位置付けになるものです。「バスマイルド入浴法」は、安価で簡単で効果的な「保温」の方法を考案してお教えしています。
がんで闘病している方が免疫力を良好なものにするための方法として、マイルド加温域(温熱処置38.5~40℃)での温熱療法があります。
バスマイルド入浴法は、がん治療でのマイルド加温領域のエビダンスを活用した全身温熱療法です。
風呂でがん戦略ーがん征圧への様々な温熱効果作用(pdfで掲載)
(専門学会で報告された科学的根拠とするものですが、必ずがんを治すというものではありません)
バスマイルド入浴法は、体内に元々ある免疫細胞の活力を増強して、がん細胞の攻撃に備え、抗がん剤治療をはじめ様々ながん治療に備えての自助治療法とし使っていただけます。
バスマイルド入浴法はどのような免疫細胞の免疫力アップが期待できるか?
温熱療法の生物学的根拠
温熱処理による基本的な生体応答(異物を攻撃する一連の反応)として、正常組織とがん細胞の血管構造の違いがあります。正常細胞は血管内皮層の外層を筋層が取り巻き、弾力性に富み、器械的刺激、化学的刺激に耐性であり、神経支配を受けており血管拡張や収縮によって血流が制御されています。温熱治療時には血流は数倍に増加するといわれています。がん組織ではがん細胞の分裂(増殖)が速く、新生血管の構築が追いつかず、貧弱な内皮層のみで筋層が欠如し、蛇行した形状であるため、器械的刺激や化学的刺激に対して損傷が受けやすい構造になっています。
マイルド加温域による温熱ストレスは免疫能が活性化し、抗腫瘍効果が増強されます。また、がん細胞は免疫からの攻撃を防御するために、細胞表面のタンパク質を変異させ、免疫からの認識能を低下させて逃げようとしますが、温熱治療は標的が細胞膜(タンパク質)であるため、免疫のがん認識能が増強させます。
連日加温による温熱治療効果の増強(著書「がんの温熱免疫療法」より引用)
「培養細胞系では初回の温熱治療に対して熱ショック蛋白質(HSP)を誘導して温熱耐性が出現するが、生体系では免疫能や血流、神経支配等によって温熱耐性な培養細胞系より軽減される。したがって、温熱耐性を考慮する必要がなく、毎日、1日おきの温熱治療が有効となり治癒率が向上する」
樹状細胞(抗原提示細胞)活性化
樹状細胞は抗原提示細胞とも呼ばれ、がんの目印を知らせる総司令塔のような役割を担っています。
がん細胞をいち早く発見し、その情報をヘルパーT細胞、キラー細胞、NKTなどの免疫細胞に情報を伝えます。
末梢血中の樹状細胞は未熟でがん抗原を認識することが困難ですが、温熱ストレスが未熟な樹状細胞の成熟化を促進します。
同じ抗原提示細胞であるマクロファージを40℃の温熱処理を行うことで貪食能(どんしょくのう:体内に表れた異物の断片を樹状細胞が取り込み)が40%増加するとの報告があります。また、好中球の貪食能も37℃より41℃の方が亢進することが分かっています。これらの事実から、樹状細胞の抗原を捕らえる能力も温熱ストレスで亢進するものと考えられます。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)活性化
Nk細胞は、がん細胞を殺す能力を持つ白血球の一種で、一般的にがん細胞に存在するNK細胞の数が多いほど、がん患者の予後がいい傾向があるとされています。
NK細胞はがん細胞の排除に重要な役割を持ちます。これまでの報告から、免疫細胞の中でも温熱感受性が高いことが知られており、温熱変化により活性の上昇および低下が起こることが知られています。
NK細胞のがん細胞への攻撃メカニズムは細胞傷害T細胞(CTL)と共通しており、攻撃となる武器としてパーフォリンというタンパク質でがん細胞に穴を開けます。空いた穴よりプログラム細胞死(アポトーシス)を誘導するグランザイムをがん細胞に送り込みがん細胞の除去に働きます。
現在までの検討で、発熱温度(38℃~40℃)の温熱処置ではNK細胞の細胞傷害度が高まり、逆に温熱処置(42℃~44℃)ではNK細胞の細胞傷害度は低下することが報告されています。
細胞傷害T細胞(CTL)活性化
CTLは、重要なキラー細胞であり、がん細胞を特定して攻撃し、破壊する役割を持ちますが、温熱処理はCTLの細胞傷害活性を減弱することが分かっていますが?
温熱の樹状細胞成熟化
40℃前後の加温では、樹状細胞の成熟化の促進やTリンパ球のIFN-γ(インターフエロン・ガンマ)産生能の増加、そして、NK細胞活性の増強など免疫応答を誘導する反応が起こります。また、IFN-γはMHC遺伝子を活性化し、細胞傷害性T細胞によるがん細胞の認識を助ける役割があります。
樹状細胞(DC)が細胞傷害性T細胞(CLT)を活性化
がん細胞へのCLTの活性化はDCからの提示された抗原提示をCTLの表面に存在する受容体型が認識して活性化誘導細胞死を誘導することから、CLTの活性化はDCが活性化することになります。
CTLの活性化とがんアポトーシスの流れ
DCによるがん抗原提示➡CLTの受容体が提示する抗原を受け取る➡CTL活性化➡CTLから放出された攻撃タンパク質(パーフォリンとグランザイム)よりがん細胞をアポトーシスに誘導
CTLは、標的細胞表面のMHCクラスI分子に提示される抗原ペプチドを認識します。この認識は、CTLの細胞表面にあるT細胞受容体(TCR)を介して行われます。 CTLが標的細胞と結合すると、細胞傷害性顆粒を放出し、標的細胞(がん細胞など)にアポトーシスを誘導します。 |
好中球(Neutrophils)活性化
白血球は顆粒球、リンパ球、単球に分類されます。さらに、顆粒球は形態や染色性の違いから、好中球、好酸球、好塩基球に分けられます。人では、白血球の約60%が好中球であり、初期の生体防御の重要な役割を担っております。
温熱で白血球をアクティブに
深部体温39.5~40℃に加温した場合の末梢血中の好中球の変動については、マウスモデルで検討された報告があります。それによると、加温24時間後には、末梢血中の好中球数か加温前の2倍に増加しており、36時間後には約4倍に増加し、この増加は一過性で42時間後には加温前の状態に戻ったとあります。
がん治療における好中球/リンパ球数比(NLR)の重要な役割
がん組織で強い炎症が起きているとNLRは高くなり、それは癌が進行していることを示します。さらにNLRは癌に対する免疫力の程度とも関連しており、NLRが高いと癌の予後が思わしくないというデータも報告されています。このように、好中球はリンパ球と併せて炎症の程度を示すだけではなく、癌の予後を想定するうえでも重要な因子と考えられています。
抗がん剤は、がん細胞の抑制、死滅に働きます。一方では、毛根細胞への影響での脱毛、血球を作る造血機能のある骨髄への影響での白血球(好中球、リンパ球)の減少を招きます。
がん治療は、国内ではまず標準治療(手術、放射線、薬物)が推奨されますが、現在では癌治療も多様性に富み、治療の選択肢が複数ある場合も少なくありません。ただし、白血球減少だけでなく、好中球/リンパ球数比(NLR)といって、がんや炎症の状態を評価する指標があります。通常のNLRは1.7程度が健康的な範囲とされています。この比率は、がんの予後を予測する上で有用であり、全生存期間や無再発生存期間などの予測に使われます。
参考資料
「併用薬と好中球/リンパ球数比を組み合わせることで 免疫チェックポイント阻害薬治療の予後を予測できることを発見」
(併用薬と好中球/リンパ球数比を組み合わせることで 免疫チェックポイント阻害薬治療の予後を予測できることを発見) プレスリリース211115-1.pdf (keio.ac.jp)
〈用語説明〉(注 2)好中球/リンパ球数比:末梢血球数である好中球数とリンパ球数の比を指す。複数の先行研究において、好中球数が少なく、リンパ球数が多い方が予後良好と考えられている。
制御性T細胞(Treg)抑制化
がん患者さんではCD4+CD25+Tregによりがん免疫応答が抑制(がん細胞免疫逃避)されて、がん細胞が増殖しやすい環境を形成していることが分かっています。
健康な人を40℃前後で加温した場合の血液中のCD4+CD25+Treg が減少することが確認されています。
温熱によって組織に遊走したNK細胞がTregを直接に破壊したり、活性化した樹状細胞がTregにサイトカインを介してアポトーシスを誘導する可能性があるとさています。
しかしながら、実情では、がん細胞でのTregが集積して免疫が強く抑制されており、さらには、NK細胞のがん細胞傷害活性の免疫力が低下している場合が多いことこら単独での温熱療法でのがんの治療効果は十分ではありません。
従って、抗がん剤の低用量投与や温熱療法、そして免疫療法の併用での治療方法などの検討が必要と考えます。
いずれにしても、温熱療法の働きや役割を考慮すると抗がん剤にしろ、免疫療法にしても、どちらにしても効力アップに欠かせない存在であることは間違いのないことです。
からだへの理にかなった温熱ストレスはからだに備わった免疫細胞には非常に重要であるといえます。
抗がん剤治療において
がん患者さんでは、好中球増加やリンパ球減少など、白血球分画に異常があることや、好中球/リンパ球比が根治術後患者の予後と相関することが、複数の皮膚や粘膜など上皮細胞に由来するがん細胞において報告されていますし、免疫力が高い人は、抗がん剤治療の効果が高まる傾向にあります。免疫力を高めることで、 免疫機能ががん細胞を効果的に攻撃し、がん細胞の増殖や転移を抑制し、がんの治療効果を高めると考えられます。
いずれにしても、免疫力が高い場合、抗がん剤の効果が高まる傾向にあります。また、リンパ球が多い場合の方が抗がん剤の効果が高いことも分かっています。
がんと好中球/リンパ球比(NLR)
抗がん剤治療において、好中球が多すぎても少なすぎても要注意で、リンパ球は少なすぎると要注意となります。ですから、最近では自分の免疫細胞を活用してがん治療を行う免疫チェックポイント阻害剤の効果とNLRの関係が注目されています。
バスマイルド入浴法とは
高価な機器を一切使わないバスで行うマイルド加温レベルの温熱効果が発揮できるバスマイルド入浴法は長年のスキルを元に2009年に自助治療として考案した方法です。また、がん温熱療法のマイルド温熱療法に属す温熱領域および温熱療法の要である「保温」を有すことから効果エビデンスも活用できます。さらに、症状、体調に合わせて体内温度を1℃up、2℃up、3℃upに調節して実施できる身体に優しく使いやすい自助の全身温熱療法です。
いずれにしましても、説明をお受けになった当日かバスマイルド入浴法が可能となります。期待できる温熱効果(温熱療法のがん対応の作用(理論含む)の科学的根拠が必ずがんを治すというものではありません)
「特典」
バスマイルド入浴法を受けられたら「トレプル感覚調整療法」をお教えしますので充実させたセルフケアにお使いください。
トリプル感覚調整療法は、温覚、臭覚、聴覚のトリプル感覚調節を使い外部及び内部環境の両環境を介し
て救心性情報として脳に伝えられ、脳内で統合されて、その結果、自律神経系、内分泌系、免疫系、そして
体性神経系の出力を介して内蔵や運動機能の効果器の活動が適切に調節される仕組みを通じて健康再
生とするものです。